みなさんこんせの!”星音せのん”です。他のメンバーが記事を書いているので私も負けじと筆をとることにしました。ちなみに私はいま右肘の尺骨神経がなんかおかしくなってしまいまして、右手の小指側が痛いです…。
…与太話はこのへんにして。私は個人の創作活動の傍ら、Skebにて楽曲制作の有償リクエストを承っています。今年2024年1月に開設して約半年、繁忙期で募集停止した期間もありましたが、ありがたいことにたくさんのご依頼をいただき、現在4曲を納品しております。ご依頼を1つ1つこなすと、作曲家としての経験にもなり、自信にもつながりますし、ふところも潤うので本当にありがたいです…。
そこで今回は、つい昨夜Skebで納品したばかりの新曲を例に、普段の曲作りについて、途中経過の音源データも交えてお話しします。1週間程度でさくっと作れて良い感じに仕上がり、Wip音源も綺麗に残っていたので、せっかくなので自分自身の振り返りも兼ねながら書いてみます。そんな偉そうにあれこれ語れる立場ではないと思いますが、曲作りの一例として読み流していただけると嬉しいです。
今回解説するのはこちらの楽曲です。ゴシック要素込みのかっこいいバトル曲です。
以下が依頼本文。
添付している音源データがダウンロードできるようになっていますが、
あくまで個人の利用及び鑑賞のみに留めていただきますようご協力お願いします。
下準備:アイデアの書き出し
まず曲を作る前に、iPadのお絵描きソフトを立ち上げ(あるいは紙とペンを用意して)、どういう曲にするかのアイデアを箇条書きで書きなぐります。(お見せできなくてすみません。) 今回のような依頼の場合、まずオーダー内容(戦闘曲風・怪しい魔術・BPM170・大幅な展開なし・要ループ)をはじめに書き、それを踏まえて具体的な舞台設定や楽器、構成・展開のアイデアを箇条書きで書き出し、方向性を固めます。途中でブレないようにするための大事な工程です。
その中で、リファレンス(=参考)にする楽曲も探します。自分の知っているゲームやアニメ等の曲から引っ張ることが多いですが、頭の中にない場合はYouTubeやAppleMusicで探します。リファレンスに相応しい曲が脳内再生されるのに何の作品の何て曲かわからないときが一番つらいですね。
なお、基本的にリファレンスは2曲以上用意します。1曲だけだと「パクリじゃないか!」と言われたとき反論できないからです。2曲以上の要素を私のセンスで混ぜることで、リファレンスの二番煎じに留まらないオリジナリティを滲み出させることができると私は考えています。
今回は依頼内容と私自身の「こういうの作ってみたい!」という想いから、某RPGの戦闘BGM全般、その中でも特に通常戦闘曲系統のものをリファレンスの主軸にし、編成はストリングス主軸、裏でホルンにオブリガートを吠えさせ、魔術要素はオルガンとチェンバロのバロック系の楽器で表現する方向に固めました。
ラフ:とりあえず展開を作り切る
方向性が固まったら作曲ソフトを立ち上げ、ピアノの音色で鍵盤をかき鳴らしながら、あるいは適当に歌を口ずさみながら、フレーズやコード進行を考えます。まずは思いつくままにひたすら鍵盤を弾き、よさそうなフレーズが出たら記録して、そのフレーズを基に曲の展開を作ります。
全体的にピアノを基準に、「ここはこの楽器でこう演奏させたい!」と思うところだけ楽器を当てはめた初期案の「ラフ」がこちらです。完成形とはメロディや展開が違いますが、この時点では「ひととおりの流れを作る」ことだけを考えていて、この時点でも多少納得いってないです。でも、この段階で完璧目指して悩んでてもしょうがないので次の段階に進んでます。
アレンジ:楽器の割り振り・作り込み
展開が決まったら楽器の割り振りに入ります。私はアレンジの際、各パートの役割を「主旋律、オブリガート(合いの手)、コードバッキング、飾り、ベース、パーカッション」に区切って考えます。
この曲の場合は、途中で役割が入れ替わることも殆どなく、全体を通して
①主旋律→ヴァイオリン
②オブリガート(合いの手)→ホルン
③コードバッキング→ストリングス・ピアノ・オルガン・ギター
④飾り→オルガン・チェンバロ
⑤ベース→コントラバス・エレキベース
⑥パーカッション→シンセドラム
…で構成するようにしました。最終的にはこのようになりますが、アレンジ初期段階では各役割ごとに1~2楽器に留め、一部だけ作り込みすぎないようにします。一部だけ作り込みすぎると後々で全体のバランス調整や修正が難しくなるからです。
この時点の音源がこんな感じ。Skeb形式でない通常の依頼であれば、だいたいこの辺で一度クライアントの方に聴いてもらいます。
アレンジの土台ができて見通しが立ったら、本格的なアレンジに入ります。今回の場合は、まず足りない部分を埋めつつ、重厚感を出すために、リファレンスを参考にエレキギターとエレキベースを追加しました。それ意外にも細かいところに手を加えて、粗やチープさを埋めつつ魅力をどんどん増やしていきます。
そして編曲の仮完成がこちら。書き出しバグってギターの奏法が変になっててちょっと煩いですが。
(ここから2ループにかわってるのは特に意味はないです。)
最終調整:微調整・ミックス・マスタリング
編曲で「やることやった!」と思えたら、音量バランス・音質の調整(=ミックス)に入ります。私は作曲しながらミックスも並行でやりたがるタイプ(いい音で聴きたいから)なので、ここでは改めて全体を聴いて再調整をします。ただ、正直私はミックスはあまり得意ではないので、自分なりに「音がすっきりして」「いい感じに響き」「迫力はあるけど耳に痛くない」状態を目指して調整しています。最近はプラグインが優秀で、つまみ一個で解決してくれる道具も多いので、私はすごく重宝しています…。
また、バランスを調整しているとアレンジに納得いかない部分もいろいろと出てくるので、見つけ次第修正して再度ミックスに戻ります。今回の場合だと、この段階でチャイムを追加していますね。
バランスを調整したら、最後に全体の音量感を整えて(=マスタリング)完成です。なお、今回の依頼では「最初と最後がループするように」という指示があったので、ループ版のファイルの頭にはループ終わりの残響音を入れて、最後まで再生してループで戻ったときにノイズになったり違和感がないように調整しています。フリーBGMなどにはこの処理がされてないものも稀にあるのですが、ここは必ずしっかりさせるのが私なりのこだわりです。
さいごに
いかがでしたでしょうか。ボーカル曲だとまたちょっと変わってくるのですが、インストの場合はほぼこの流れで作ってると思います。
こんな感じで曲を作ってますので、ぜひとも今後とも私の音楽作品を楽しみにしていただけると嬉しいです。
ちなみにSkebのリクエストは3000円から承っております。納期が最長2か月なのと、あくまで有償お題箱なので、制作中のやり取りやリテイクは一切禁止ですが、かなり破格で曲を作りますので、ぜひお気軽にご依頼いただけると嬉しいです。(繁忙期はこちらで閉鎖しますので、募集あけてる時は「忙しそう…」とか気にしないで大丈夫です!)
ご依頼はこちらから!
https://skeb.jp/@senon_ptr
長々と読んでいただきありがとうございました。それでは!